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百里「そういえば、お前たち2人もデータを手に入れるためにここに来たのか?」
百里と葵は、そこは詳しく聞いていなかった。
青年A「そうです。僕たちは、外壁の図面を入手するためにここに来たんですよ」
青年Aは、1枚のフロッピーディスクを懐から出す。
葵「…なるほど、そうか。図面には街の外へ出るための出入口が載っているはず…」
百里「無事入手したんだな」
青年Aは、ディスクを懐にしまいながら笑った。
青年A「大変だったんですよ。巳六が、制御室のパソコンをいじって製鉄所の全動力を可動させちゃったんですから」
青年B「何だよ、幸四だって横で笑ってたじゃねーかよー」
彼らは、お互いを”幸四” ”巳六”と呼び合った。髪にメッシュが入った青年Aが幸四、黒髪の青年Bが巳六。
巳六「でも電源が入ったお陰でデータ手に入ったんだぞ。ただ、電源を止める方法が分かんなかったけどな」
幸四「色々いじってたら一晩経ってましたね。結局止められなかったんだから早く逃げれば良かったんでしょうけど」
ガクン。
その時、何故か動いていたエレベーターが中途半端な所で止まった。
百里「…何だ?ダースか?」
葵「かもな」
4人は武器を構える。
エレベーターのドアが静かに開いた。
そこには誰も居ない。
百里と葵は幸四たちとの会合であまりよく見ていなかったのだが、そこはれっきとした製鉄所であった。
ビルのような外観からは想像出来ないような。
そこからは、製鉄所特有の熱気が伝わってくる。
葵「さすがに熱いな…」
巳六は、キョロキョロと周りを見回していた。
巳六「…これでいいか」
彼が手に取った大きい缶には、「灯油注意」と書かれていた。
巳六はそれを、上へ続く階段に撒く。
百里「なっ、お、お前、何やってんだよ!!」
巳六「製鉄所だから壁も床も耐熱性で出来てて、火事になることはねーと思う。奴らを妨害するにはコレが1番!」
幸四「相変わらずやることが唐突ですねぇ」
巳六は台の上からバーナーを持ってきて、撒いた灯油に火をつけた。
炎は一気に階段上に広がる。
幸四「上の階の奴らはコレで足止め出来ました。さあみんな、下の階へ下りましょうか」
百里「何で冷静なんだ!!」
そんなやり取りをしがらも、4人は走って下の階へ下り出した。
「何だこれは…!!おい!」という神無の声が、上の階から聴こえてくる。
巳六「可哀想だな」
葵「やったのお前だろ…」
しかしこれで、本当に奴らを振り切れそうだ。
しばらく下りていると、階段の下の方から叫び声が聴こえてきた。
太一「百里!!葵!!」
太一の声だ。
百里「タイチ!!ここに居るぞ!」
五月「居るな、よし…」
次は五月の声だ。
五月「2人とも、合流したら俺らに付いてきて、俺らが入る階に入れ!理由は後だ!」
何か理由があるのだろうか。4人はとりあえず、太一と五月の姿が見えるまで階段を下りる。そして…
居た、太一と五月だ。
2人もこちらの4人の姿を確認すると、ちょうど合流地点になった階の入口に入った。4人もそれに続く。
太一「幸四と巳六も無事だったか。図面は?」
幸四「無事手に入れましたよ。で、ここは何ですか?」
その時、下の階から何人もの足音が聴こえてくる。
五月「いちいち戦ってたら、お前らと合流出来ねえと思って振り切ってきた。合流も出来たし、ここで片付ける」
巳六「マジかよ。俺ら一睡もしてねーの。マジキツイんだけど」
今度は巳六ではなく、幸四がキョロキョロと周りを見回している。
幸四「そうですよ。手っ取り早く片付けましょう。…これでいいか」
手に取ったのは、消火器だった。
五月「幸四テメエ、何のつもりだ!?」
幸四「頭を使うんですよ。バカ力のあなたには思い付かないでしょうけど」
五月「ハァ!??」
挑発されて怒り出した五月を横目に、幸四は皆に合図をした。
幸四「みんな、階段の位置をよく覚えて下さい。冷静になれば脱出できるはずです」
ちょうどその時、黒スーツの男たちが目の前に到着した。
幸四はそれを待ってたかのように…
プシュッッッ!!!
辺り一面が、消火器の粉で真っ白になる。
五月「マジかよ!!フザけんな!!!」
太一「よし、脱出しよう」
五月も、文句を言いながらも渋々皆と脱出をした。
巳六「…幸四、お前結構ゴーカイだな」
幸四「いえ、あなたには負けますよ」
百里「お前らも変な奴らだな!」
百里、葵を含む6人は、体に付いた粉を振り払いながら、階段を使って脱出した。
階段に居た残党は、体力の残っている太一と五月と百里が積極的に倒していった。
正面玄関に着く少し前。
巳六「お前、途中でフロッピーディスク拾ってただろ」
葵「…ん?ああ…」
葵は、神無と会合している時に、床に落ちていた目的とは別のフロッピーディスクを拾っていた。
葵「何か役に立つかと思ってさ」
巳六「違う違う。それデータ探ってる時見つけたディスクなんだけど、
中身見てみたら”トーキョーシティの正しい歴史”って出てきたから、俺らあんま関係ねーやってそこで止めて捨てたんだよな」
葵はそれを懐から出し、じっと見つめた。
葵「…正しい…歴史…?」
巳六「興味あるのか?」
葵「…」
しばらくディスクを見つめ、そっと懐に戻す。
葵「一応、貰っておく」
例えば、その中身が、知らない方が幸せなことだったとする。
それを知ってしまったとして…
その時は…
→6.空