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3人はビルに帰ると、すぐに入り口で部下に話しかけられた。
部下「昨日連れ帰ったレジスタンスですが、すぐに色々白状してくれましたよ」
石投「そうか。息吹への信仰の薄い下っ端だったってことだな」
3人はエレベーターで上の階へ上がり、ボスの部屋へ急いだ。
部下「レジスタンスの方でも下っ端だったらしく、あまり色々詳しい訳ではなさそうでしたが、分かることは全て話してくれましたよ」
部下はそう言うと、地図をテーブルの上に広げた。3人はそれを覗き込む。
地図には2ヶ所、印が付られていた。
千里「これは?」
部下「他のアジトがある場所だそうです。ここには、他のレジスタンスの中でも上に位置する幹部が居るそうですよ」
千里はすぐに冬華の顔を見た。
冬華「そこに…みんなが居るかもしれないんですね…」
みんなとはもちろん、傭兵の仲間だ。レジスタンスの中には四季の名前を名乗る者が居るらしいのだから。
部下「それともう1つ、とても気になる情報が…」
石投「何だ?」
部下は微妙そうな面持になった。
部下「ドリーム島の地下で、大規模な計画が行われようとしているとか…」
石投は眉をひそめる。
石投「地下…っていうのは、どの地下だ?」
千里「イシナギも言ってたじゃん、ドリーム島の地下はかなり広いって。その地下のどこかってことじゃないかな?」
石投はしばらく考え込んだ後、「うーん」と唸った。
石投「大規模なテロ計画かもしれんな。早めにレジスタンスの幹部を拘束しなければ…よし2人とも、行くぞ」
石投も部下も、すぐに仕度を始める。今回もまた、石投・千里・冬華の3人で行動し、少し遅れて部下も出発するスタイルなのだろう。
千里は出かけ際、石投に話しかけた。
千里「なあ…イシナギ」
石投「どうした?」
千里「俺…双子の妹とはぐれちゃってさ。もし良かったら、政府の人に探しといてもらってもいいかな。俺はイシナギと冬華に着いて行きたいし」
石投は、不思議そうな顔をする。
石投「妹を探していたのか?そんな風には見えなかったがな」
千里「このドリーム島には居ると思うんだよ。で、妹は俺よりかなりしっかりしてるからさ…多分、俺の方が迷子になってる側だと思う」
それを聞くと石投は手を叩いて笑った。
石投「あっはっは…!!!確かに、お前どんくさそうだからなあ!!」
千里「笑うな!!」
千里は真っ赤になりながら石投を小突いた。
2ヶ所あるアジトのうち、住居区の方に位置するアジトへ3人は向かった。
今度は、高架下にある謎の扉の前であった。
千里「ああ、今回はここね」
何となくこういった入り口にも慣れた。
重い扉は、ゴリゴリと開かれる。
千里「あっっっっつい!!!」
扉を開くと刹那、いきなり灼熱の暑さに包まれた。
石投「ここは高位住宅街の下だからな。ここの熱を各家庭に送って室内の温度調節に利用してた訳だ」
それをきくと冬華は声を潜める。
冬華「え…でも高位住宅街は陥落したって聞きましたよ。今も暑いって、おかしくないですか?
機材が動いてるから暑いんですよね?誰か居るんですかね?」
石投「その通り。誰かが居るから暑いんだろうな」
誰か、とは、レジスタンスのことだろう。
千里「え、でも地下に潜んでるのに機材を動かす意味はあるのか?高位住宅街をアジトにしている訳でもないし」
石投「奥のアジトに人が入ってこないように、入り口を暑くしているのかもな」
3人は暑さの中、奥へ向かって歩き出した。
千里「暑くて死にそうなんだけど」
冬華「…どのくらいすれば着くんですかね…」
3人はすぐに汗だくになる。
しばらくすると、ついに石投が…
石投「あああ暑い!!!!!もうダメだ!!!」
ついに我慢の限界を超えた。
石投「2人とも聞け!今から俺が言う通りに走れ!!右、真っすぐ、左、右、右、真っすぐ、左だ!!」
千里「ええ!?何だって!?」
そう言うと石投は間髪居れず走り出し、すぐに見えなくなる。2人は慌てて石投の後を追った。
いくつかの分かれ道を、石投げが言う通りに走って行くと、3回目の”右”のあたりでいきなり涼しくなった。
千里「ア、アレッ?この辺り、機材が動いてない!」
石投の言う通り、機材は入り口を暑くしているだけであった。
走っていた千里と冬華は、石投が止まっている所で同じく止まる。
確かに涼しくはなったが、思い切り走ってきたので息切れが凄い。
千里「いきなり走るなよもう…」
石投「2人ともあと少しだ、がんばれ!」
石投はいつもの調子であった。
奥の扉の前で、3人は息を潜めて 聞き耳をたてた。
人の声がする。この扉の先がレジスタンスのアジトなのであろう。
石投はあの時と同じように、扉を蹴り飛ばした。
??「何だ、誰だ!?」
そこに居たレジスタンスたちは、すぐに戦闘体勢に入る。
石投と共に戦闘体勢に入った千里と冬華は、レジスタンス1人1人の顔を見た。
居ない。千秋も、他の傭兵一味も誰もその中には居なかった。
冬華「そんな…」
千里「冬華、油断しないで。来るぞ!」
すぐに戦闘が始まる。
3人は強いが、今回はレジスタンスの人数が多かった。少しずつ押され始める。
しかし、5分ほどすると石投の部下たちが合流する。こちらの方が有利になった。きっと勝つだろう。
その時…
レジスタンス「スプリングさん!!!」
石投が倒した大男に向かって、別のレジスタンスが叫んだ。
石投「スプリングさん…?」
石投は、倒れているスプリングと呼ばれた大男の胸ぐらを掴む。
石投「お前、スプリングというのか」
スプリング「…ああ、そうだよ」
そして、千里が倒した小柄な男に対しては、
レジスタンス「オータムさん、しっかり!!」
と叫んだ。
冬華「…ウソでしょ…」
レジスタンスの幹部は、確かに四季の名前だった。
しかし、傭兵一味とは全く無関係なのであった。
冬華「…ウソ…」
千里「冬華、しっかり!!」
一気に戦意を失った冬華を庇うように、千里は戦った。
3人と部下たちはレジスタンスたちを倒し、彼らは前と同じように拘束された。
すぐに部下たちの手により、外に連れ出される。
しかし。
冬華「…」
千里「…冬華、とりあえず帰ろう」
2人の失意の顔。
希望は断たれてしまった。レジスタンスが傭兵一味と全く関係が無いのだとしたら、2人が石投に着いてきた意味も全く無くなってしまう…
千秋たちへの希望は、ここで断たれてしまった。
イナリ「なんだよチサト、またいじめられたのか、仕方ないなー」
チサト「…」
イナリ「大丈夫か?」
チサト「…大丈夫だよ。だって、俺には兄貴が居るもん!!」
イナリ「あっはっは、お前本当にそんなんでいいのかよー?」
本音を自覚したくない
→5.月