「学理」





 1818年 某日。

 カエデ、キリュウ、そしてカルマは、ガトの図書館に居た。
 カルマとしては、もうガトと関わるつもりは無いのだが、まだ読んでいない本があるのだ。仕方が無い。
 カエデは、本を読むカルマに笑顔で話しかけた。
「このままカルマがずっと、ガトに居てくれればいいのになー」
「それは無理だ」
 このカエデとカルマの会話は、もはやお馴染みであった。
 キリュウは本を選びながら、2人の様子を見て笑っている。
 カエデはむっとして、
「もう、笑っていないで勉強しなさい。軍師になるんでしょ?」
 と、キリュウを小突く。キリュウはまた笑った。
「ごめんごめん、分かってるよ」
「また笑ってる!分かってないじゃないの!!」
 そんな2人のやり取り見ようともせず、カルマは本を読み続けた。
 カエデは再びカルマに話しかける。
「一緒に居られる僅かな時間を、大切にしましょう、カルマ」
「ん。ああ」
 カルマは本を読みながら、素っ気なくなく答える。
 しかしカエデにはそれで充分だった。
 カエデはカルマの横で、満面の笑みを見せた。


 それから更に数年後。
 カルマは読みたい本を読み終えたのか、特に別れも告げずに静かにガトを去った。
 カルマが去ってからも、カエデは公務をこなしながら時々カルマに想いを馳せる。


 カエデはそのうち、女王となった。
 カエデは女王になった後も、時々カルマのことを思い出した。


 カエデは、生涯カルマのことを忘れることは無かった。










→「業」