1865年 某日。
転区:ホウテイが誕生してから、実に48年の月日が流れていた。
ホウテイは王制では無く、独立の際に中心人物になった者たちの手により、”政府”という物が作られていた。
承区:ガトとホウテイの交流が開始されてから、2つの国は結区:マイオウギも交えて共に栄えてきた。
木材による建築は日々進化し、耐久性が追及されるようになった。砂を固めて石を作る技術も活用され始めている。
衣服は留め具で止める技法が主流になり、見た目の華やかさよりも機動性が重視されていった。
電気や機械という物が生まれ、数字で時間を刻む時計が開発されてからは、
電気や機械による都市開発が少しずつ確実に進められていった。
起区:フシンが長い間動きを見せていないこともあり、3つの国は経済成長に集中することが出来ていた。
しかし、最近は別の方面で物騒になりつつある。
そちらの問題にも、各国それぞれが対応策を打ち出していた。
ガトの国のカエデ王女の没が大陸中に伝わり、人々が喪に服していたある日。
ホウテイにある旅人が集う酒場に、4人の若者が居た。
「今度は、その”魔物”を倒せばいいんだな?」
若者の1人である、金髪のがたいの良い青年は、仕事の依頼主と話をしていた。
青年の問いに依頼主は答える。
「ああ。鉱山にある、使われなくなった”天の坑道”に住み着いているんだ。頼んだぞ」
”魔物”とは。
凶暴化した獣は、消えなかった。何故なら、まだ”罪人(つみびと)”が消えていないからだ。
凶暴化した獣は徐々に増えていき、人々に”魔物”と呼ばれるようになり、マイオウギ、ガト、ホウテイ共に軍隊を使って倒して回っている。
魔物はホウテイ周辺に集中しており、ホウテイには軍隊の他に街のあらゆる所に依頼主が居て、腕の立つ旅人に退治を依頼していた。
その報酬で生計を立てている者は”賞金稼ぎ”と呼ばれ、1つの職業になっていた。
酒場に居る、この4人の若者も賞金稼ぎである。今日も依頼主の依頼で、魔物を退治しに行くのだ。
いつものように酒場を出発しようとした4人の前に、1人の少女が現れた。
「少しいいか」
と、少女は言った。
金髪の青年は、ぎょっとする。旅人が集う酒場に、このような少女が1人で居ることが珍しいからである。
青年は笑いながら少女に答えた。
「いいけど、お前みたいな女の子がこんな所に居たら危ないぜ?賞金稼ぎには変な輩も居るからな」
少女が返答する前に、金髪の若者の1人が言葉を発する。
「ちょっと、あたしもこの子と同じくらいの年なんだけど?あたしも危ないのかな~?」
その若者も、少女であった。
「お前は野蛮だからいいんだよ」
「ひど~い!」
そんな若者たちのやり取りを無表情で見ていた”話しかけた方”の少女は、2人とは別の若者に話しかけ直した。
「少しいいか」
「ええ、いいわよ」
その若者は、長い金髪の女性であった。
少女は続ける。
「申し訳ないが、先程の依頼の話を聞かせて貰っていた。
私は実は、天の坑道の奥に用があるんだが…見ての通り、所詮少女だ。1人では魔物と戦えない」
女性は、くすっと笑った。
「何?その喋り方。まあいいわ。で、私たちの後ろにくっついていきたいの?」
「出来ればそうしたい。頼めるか?」
女性は、若者たちを見た。
騒いでいた先程の2人も、落ち着いたのかちゃんとこの少女の話を聞いていたようだった。
「いいぜ。後ろを付いて来るだけなんだろ?」
「いいよ!同い年くらいの子が居るとあたしが楽しいし?」
青年も少女も笑顔で頷き、
「…僕もいいよ」
先程から、微笑しながら皆のやりとりを見ていた、4人目の金髪の少年も頷いた。
女性は再びこの少女の方を見た。
「じゃあ、行きましょうか」
女性のひとことが合図になり、5人は天の坑道へと出発した。
5人は鉱山の山道を登りながら、自己紹介をする。
まずは、女性から。
「私はバース。4人兄弟の長女よ」
続いて、青年。
「俺はホウプ。バースの1個下の25歳だぜ」
女性…バースは、青年ホウプの耳をつねった。今のひとことで、バースの年齢が暗に示されてしまったからだ。
続いて、少年。
「僕はライク。年も言うの?19歳だよ」
そして最後に、少女。
「あたしはドリーム。17歳よ。仲良くしてね!」
4人は、兄弟であった。
4人の自己紹介が終わったので、次は付いて来た少女の番である。
「私は、カヤ。19歳だ。秘境を探している旅人だ」
少女は、”カヤ”と名乗った。
カヤ、よろしく…
そう、少女ドリームが言いかけた時。
坑道の入口から、魔物3体が飛び出して来た。
そこは、天の坑道であった。ここには大型の魔物が多数住み着いており、退治する者が中々現れずに居たのだが。
そこに現れたのが、この4兄弟だ。
「よし、やるぜ!!」
ホウプのその掛け声で、4人は剣を抜いた。
4人は素早い身のこなしで、襲いかかって来た魔物たちを一網打尽にする。
魔物は倒された。
「このくらいなら、なんとかなりそうね」
バースは剣を収めながら言った。
カヤも、4人の強さを実際に目にして、納得したように頷いた。
5人は天の坑道の内部へ入った。
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