ユリ。俺だよ、チサトだよ。
お前のことも探してあげないとなあ
随分会ってないような気がするよ
俺が必ず、探し出してみせるからな
お前はしっかりしてるけど、融通がきかなくて頑固なところがあるし
俺が支えてあげなくちゃ
待ってろ、必ず迎えに行くから。
列車は、住居区の郊外で止まった。
2人が列車を降りると、そこは田舎道だった。
そんなに多くはないが、所々に草木が生えている。ドリーム島にしては自然が多い場所なのかもしれない。
2人は、一歩ずつ前へ進んだ。
しばらくすると、階段が見えてくる。この先だ。
2人が向かっている所は…
半年前。ビルが半壊した時に、多くの人間が犠牲になった。
その犠牲になった人たちを収容する墓場。ちょうど完成したらしい。
名簿ではなく、墓に刻まれた名前を、2人は確認するためにやってきたのだ。
…俺は泣かないよ。
石投「だが千里。俺が見て口で教えるより、自分の目で見た方がいいと思うぞ」
あの時
千里「…うん、分かった」
俺は全てを悟った
階段を少しずつ上がっていくと、冬華の足が止まる。
冬華「…私、やっぱりいいです」
千里は手を差し出す。
千里「大丈夫だよ。俺がついてるから」
冬華「いい…いい…」
千里「…冬華」
冬華「嫌…いやあ…」
千里は冬華の手を、優しく取った。
千里「行こう。冬華」
階段の終わりが見えてくる。
冬華「…嫌だ…」
千里「冬華」
冬華「恐い知りたくない。嫌だ恐い知りたくない」
膝を着きそうな冬華を、千里が支える。
冬華「嫌嫌嫌嫌嫌嫌あああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」
千里「冬華!!!!!」
泣きじゃくる冬華に向かって千里は、
千里「分かるよ…冬華…俺にとっての兄貴…お前にとっての仲間…
でも…
…ここを乗りこえないと、俺たち前に進めないんだよ…
もう…進まないと…
俺たちは…」
冬華は震えながら、静かに足を動かした。
5分ほどの階段を、1時間かけて2人は登り切る。
そこは広い丘になっていて、50個くらいの墓が規則正しく並んでいた。
2人は、端の墓から、ゆっくりと、刻まれた名前を確認する。
名前は見つからない。
でも。もう分かってる。
2人は、1ヶ所離れた所にあった、1つの墓を見つけた。
ゆっくりと、歩み寄る。
千里「…」
冬華「…」
そこに刻まれていた、愛しき4つの名前を、冬華は指でゆっくりとなぞった。
やっと
冬華「…ふふ」
墓を、ゆっくりと抱きしめる。
冬華は泣いた。
無理だな
千里は墓に書かれている名前を静かに確認して、冬華ごと墓を抱きしめた。
泣かないのは無理だな
頬を、暖かい物が伝う。
なあ兄貴
2人は、大声を出して泣いた。
兄貴の本当の目的って、本当は何だったんだろうな
俺は、全てを悟ったあの時、必死になって見知らぬ地に来たのに、兄貴がこの世にもう居ないという最悪な結末と、
ユリもどこに居るのかさっぱり分からないという現実を叩きつけられて、怖くなった。
ドリーム島に来たことを、心の奥底から後悔するくらい
そこで俺は、いいことを思いついた。
もしかして…兄貴は…
ドリーム島を救うために来たんじゃないか!?
恐怖から逃れるために、俺はそう思い込むことにした。
そうすれば兄貴の死も俺がここに来たことも無駄にはならないよ
俺はこの島の救世主になる運命だったんだそうに違いないきっとそうだ
大丈夫大丈夫怖くなんかないこれは運命なんだから
俺は、恐怖の対象になってしまったドリーム島を、無理矢理好きになろうとした。
「俺は…ドリーム島を救わなくちゃいけないんだ
「気になって仕方ないんだ
「俺には分かる
嘘
嘘ばっかり
もう日が暮れる。
千里「…冬華、また来よう」
冬華「…私…」
千里「何?」
冬華「私も…<E-ナンバーズ>を探しに行きたいです」
千里「…うん」
冬華「1人になるのが怖いんです」
千里「少しずつ、前に進もう」
ここに来て吹っ切れたかも
落ち着いて考えてみようよ。
色々な奇跡が起きて、ドリーム島にやってきた。
もしそれでドリーム島を本当に救えたらさ
来た意味あるのかもしれないし
後は
ドリーム島
<E-ナンバーズ>
俺
ちょっと改めて見つめてみる
→