18IA.天秤-lIbrA

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 シャルとムジカはライブラに連れられ、イーストシティ外れのスラム街にあるカタルシス国の陣地に来ていた。

 カタルシス国の人間たちは以前と違い、ホープ帝国に所属しているシャルとムジカを見ても襲ってこなかった。既に同胞であることが知れ渡っているのだろうか?
 街中を歩きながらライブラは2人に言った。
「今からカタルシス国の代表をやっている俺の双子の姉と会わせる。そこで兵器の話をしてくれ」
 しばらくすると、小さな工場のような所に着く。ここが恐らく本部である。そんなに立派な建物では無い。ホープ帝国から目を眩ませるために意図的に目立たない建物を本部にしているのだろう。
 シャルとムジカがライブラに案内され本部に入ると、そこに1人の女性が待っていた。
 2人は、彼女に見覚えがあった。
 ライブラは女性に眉をひそめながら話しかける。
「…手荒な真似はしないでくれよ。彼らはまだ子供だ」
「分かってるわよ、ライブラ」
 女性はそう答えると、シャルとムジカの方を向いて2人に笑顔で話しかけた。
「こんにちは、私はカタルシス国の代表のジェミニよ」
 シャルは女性を観察した後、冷静に言った。
「…あんた、アイオラの助手だな」
 そう…見覚えがあったのは、彼女がアイオラの助手としていつも彼の近くに居たからであった。
 ジェミニは嬉しそうに答える。
「よく分かったわね、シャル。話が早いわ。アイオラを爆破したのが私ってことも?」
「…!?」
 これには、さすがにシャルも驚いた。そして、アイオラが爆破された時に聞こえた声はジェミニだった…ということになる。
 ムジカはジェミニに恐る恐る話しかける。
「あの…あなたも、ジェイド地区の生き残り…ってことなんですか?」
「そうよ、ムジカ。私たちは同胞。仲間なのよ」
「…」
 ジェミニは笑顔でムジカに応じた。完全に仲間だと思われている。確かにシャルとムジカはジェイド地区の生き残りだが、カタルシス国はずっと敵だと思っていた団体だ。2人はすぐには頭を整理できずにいた。
 ジェミニは再び2人を交互に見る。そして、意を決したように言い放った。
「率直に言うわ。あなたたち2人をカタルシス国に勧誘したいわ。どう?所属しているのはジェイド地区の生き残りの仲間よ」
 シャルとムジカは顔を見合わせる。言われるとは思っていた。だが、シャルは悩む前にラングたちのことを思い出し、冷静に答えた。
「…無理に決まってんだろ。俺たちはレギュレート兵器を取り返しに来ただけだ」
 ジェミニは断られても動揺したりはせず、落ち着いて言った。
「そう。確かに、どう生きるのかを決めるのは自分だものね」
 ここで2人は、以前ライブラから言われた言葉を思い出す。

『穏やかに暮らしたいか、真実を知りたいか…君たちが自分で選ばないとならない時が必ずくる。後悔のないように生きなさい』

 これは恐らく、ジェイド地区の生き残りは、穏やかに暮らすかカタルシス国に入るか、どちらかを選ぶことになる…という意味だったのだろう。
 ジェミニは更に続ける。
「じゃあ、せめてカタルシス国についての話だけでも聞かない?聞くだけならいいでしょ」
 それに対し、シャルは顔をしかめながら答えた。
「話を聞かないと兵器を返してくれないってか?」
「いえ、兵器の話は別でしましょう。そうしないとあなたたちに信じて貰えないからね。さあ、どうする?」
 ムジカは不安そうにシャルを見ながら小声で言った。
「…シャル、大丈夫かな?どうする?」
「…そうだな…話だけか…」

 再び選択だ。これは、コーラルからカタルシス国の話を聞くかどうかを選択をした時にも似ている、と2人は思った。知るのと知らないのとでは、今後の行動や考え方に違いが出ることは間違いない。
 ジェミニからカタルシス国についての話を聞くか、聞かないか。
 どうする?

→ジェミニの話を聞く

→ジェミニの話を聞かない