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利九はしばらく、モニターの文をひたすら読んでいた。
太一は、何となく落ち着かなくて、モニターから目を離してキョロキョロと周りの機械を眺めていた。
モニターを見るのが怖い気がした。
なぜか。
何だろう…知ってはいけない気がする。これは何だ…?
ああ、あれだ。「嫌な予感」。
嫌な予感が…する…んだ…
ガタン。
利九が、手に持っていた小型の機械を下に落とした。
モニターを見て、呆然と立ち尽くしていた。
太一「利九…どうした」
肩を掴んで、顔を覗き込む。
利九は何の反応もせず、ただじっと、呆然とモニターを見ていた。
太一「利九!どうした、利九!!」
ガクガクと揺らす。
利九「…嘘…だ…」
小さくそう呟いた。
太一「何か見たのか!?何が書いてあったんだ…」
太一は手を離し、すぐにモニターに向かった。
そこには、文が長々と書かれていた。
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・<E-ナンバーズ>には、”寿命チップ”というチップも同時に施してある。これは、<E>が逃げ出したり、裏切ったりしても、時期が来れば自動的に死亡するようにするためだ。
・もし寿命が来た時にも政府に留まっていれば、その時に手術で外す。
他のチップと違い、寿命チップは手術で取り外すことが可能(しかし、寿命の期間を引き延ばすことは出来ないようになっている)
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・緊急連絡
<E-ナンバーズ>の各チップに、ウィルスが進入したことが発覚。そのウィルスは、寿命チップを頭の中にある無数のチップに拡散させるものである。
1つの場所にあったチップが無数に散ってしまったことにより、寿命チップの取り外しが困難になった可能性が高い。
・<E>の7人、全員にウィルスを確認。逃げた<E-バイオレット>のデータを確認したところ、<E-バイオレット>にもウィルスが確認された。
・様々な研究員・医者の手や知恵を借りたが、寿命チップを取り外すことは出来ず。寿命チップ・ウィルスの検査は打ち切られる。
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・<E-ホワイト>以外の<E>が逃げ出す。情報流出を防ぐために<E>を引き続き捜索せよ。
しかし、寿命チップに設定された寿命「5年」が経った場合、自動的に死亡するので、そのナンバーズの捜索をその時点で打ち切る。
・寿命は「5年」。手術を施した日付から、1826日後を指す。
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…なんだ これは
何だ
何だ
何が書いてあるのか分からない
理解出来ない
太一「…え…何だこれ…」
口だけが自然と笑えてきた。
太一「…寿…命…?…俺たちに…?」
もう一度モニターを見る。
何度見ても内容は同じ…
利九「巳六」
ボソリと呟かれたその言葉で、太一は我に返った。
利九「…5年…」
太一「!?」
巳六が手術を施されたのは、5年前。
<E-ナンバーズ>の寿命は、5年。
太一「…いつだ。利九、巳六の正確な手術の日はいつだ!!!!」
利九はモニターのページを切り替える。
さっきの、手術が施された年と日付のページを開いた。
巳六の日付を見て。すぐに計算を始める。
利九「…巳六が手術を施されてから、今日で4年と11ヶ月と2週間だ…」
太一「…じゃあ…」
3週間。
巳六の命は、あと3週間だけだった。
太一「そんなばかな!!!!こんな!!こんなもの…!おい利九、もっと新しいページは無いのか!?ウィルスと寿命の研究が再開されたとか…」
利九「無い!!探したけどどこにも無かった…」
プシュ。
扉が開いた。
英二「太一、利九!幸四たち4人が来たんだ!みんな集まったよ!」
太一と利九は、呆然とした顔で英二のことを見た。
英二「…2人とも、どうしたの?」
太一「…!!」
太一が我に返る。
笑顔を作った。出来るだけ、不自然にならないように。
太一「…ああ、そうか!良かった良かった…英二、もうちょっと待っててもらっていいか?データをハッキング出来るだけたくさんハッキングしたいんだ」
英二「…分かった。外で待ってるね」
英二は、何か言いたげに部屋を出て行った。
そして太一は。
太一「利九、とりあえず落ち着け…」
深く深呼吸をする。太一は、必死に平常心を保とうとした。
皆に、心配をかけてはいけない。何よりも。
太一「とりあえず、このことは皆には言わないでおこう。
それで、今ここで<E>の研究に関するデータを持てるだけ持ってって、それをレイに渡す。
レイなら…もしかしたら、何とかしてくれるかもしれないだろ?」
利九「…どんな研究員や医者にもどうにも出来なかったんだぞ…」
利九の目は、虚ろだった。
太一「やれることがあればなんでもやろう…な?ああ、あと俺のレントゲンも撮ってもらって。
ウィルスのことが本当なのかもレイに見てもらおう。こんな、文だけで見ても本当かどうか分からないし」
利九「…」
太一「…利九、いいな?」
利九は、ようやく太一の顔を見た。
ほんの少しだけ、目に色が戻ったように見えた。
利九「…分かった…データを、出来るだけハッキングする」
太一「よし…」
利九の手が再び動き出す。太一も、出来る限り手伝った。
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