今、私の中で、どの感情が1番勝っているんだろう。
誰かを大切だと思う気持ち。
誰かを愛する気持ち。
悲しみ。
怒り。
憎しみ。
後悔。
私…自信が、無い…よ
「ねえ、空に色が浮かんでる!」
処理区の集落で、七々…オレンジは、空を見上げていた。
??「オレンジ、それは”虹”って言うのよ。雨が降った後に出来るものなの」
オレンジ「ねえ、あれって、触れるの、レン?」
レン「いいえ。虹はねえ…そう、幻なのよ。無いのに見えるのよ」
オレンジは、目をパチクリさせた。
オレンジ「何でかな。だって、無いんでしょ?」
レン「ええ。空って不思議よね。空は、世界のどんな所にも繋がっているから、無いとは言い切れないわよ?」
オレンジ「どんな所にも…」
オレンジは空から目を離し、レンを見つめた。
オレンジ「遠くに居る人も、死んだ人も、空で繋がってるの?」
レンは微笑んだ。
レン「そう、ね。きっと繋がっているわ」
オレンジ「じゃあ、虹みたいに、幻として見えたりする?」
レン「どうでしょうね。見えないとは言い切れないけど」
レンは苦笑した。
その日からオレンジは、空ばかり見るようになった。
記憶には無い自分の家族とか、大切な人たちだとか。
この空で、繋がっているんだろうか。幻が、見えないかな?
空を見上げてばかり居た。
あの日が来るまでは。
みんなが目の前で、機械兵にめちゃめちゃにされて。
私の人生はもう終わったのかと思った。
消えてしまいたい。
私はカラッポ
雨が降ってきた。
七々は、よろけながら、襲い掛かってくる機械兵を次々と破壊していった。
私は
あの時のことを、後悔している。
能力で変に抵抗しないで、私1人がおとなしく捕まっていれば誰も死なずに済んだんじゃないかって
こんな能力、大嫌い。
でも
とりあえずまた、目の前の機械兵を破壊し終えた。
でも…
逆に、あの時私が力尽きないで、全部の機械兵を壊すことが出来たなら、だれも死なずに済んだんじゃないかなとか
七々は、再び気を失った。
私、今は…
声が聴こえた気がする。私の名前を呼ぶ声
今は、目の前に居る機械兵を、全部壊して、みんなの無念とか、私の後悔とか、私の周りに居てくれるキョーダイを守りたいとか、全部…出来たらいいな
ああでも私
…急に周りが静かになった気がする。七々の耳に、無数の機械の音が聴こえた。
捨てられた。
私の能力、ダメなんだって。
好きでこんな体になったんじゃないのにね
廃棄って言われたの。ゴミみたいに、処理場に捨てられた
…ゴミでもいいよ…
だってそこには仲間が居て、ゴミでもみんな仲良くやってたの
たのしかった
たのしかった
たのしかったのに
時雨
時雨
時雨
許さない
絶対許さない
倒れかける七々を、再び走ってきた巳六が、しっかり受け止める。
…ねえ、巳六くん
私、やっぱり、時雨が憎くてたまらない
私の中、もう真っ黒かもしれない
ああ もう 私
あなたの顔が まともに見れない
笑顔
アジトに来て、笑顔取り戻せたと思ってたのになあ
笑顔ってどうやってやるんだっけ
巳六「七々」
七々は恐らく、また立ち上がるのだろう。
巳六は、周りに機械兵が居ないことを確認して、しばらく腕の中で七々を休ませていた。
そして。
再び機械兵の集団が現れ、七々は連鎖的に目を覚まし、そのまま飛び起きて機械兵の中へ飛び込んでいった。
七々が能力で機械兵の集団を破壊し終えると、また力尽きて気を失い、倒れかける。
そしてまた巳六が七々を受け止め、七々を腕の中で休ませた。
正直、こんなことやめさせたいんだけど。
本当に胸を掻きむしりたいくらい、やめさせたいんだけど
再び機械兵が現れ、七々が飛び起きて。巳六もまた、少し離れた所で機械兵と対峙する。
…でも…分かるだろ…!
ここは、七々の能力に頼らないと、みんな生きて帰れないんだよ…!!
それに七々は、機械兵を全部壊すことに必死になってる。
だったら、俺に出来ることは一体なんだ。
そう、倒れる七々を支える。たったこれだけ。
これだけだっていい…
俺は、俺に出来ることをやらなければ。
俺も、七々も、みんなも…生きてアジトに帰るんだ…
そして、七々の無念を、ここで
七々が倒れて、巳六が受け止めて。
また再び七々が立ち上がって、機械兵を倒す。
それが一定のリズムとなり、徐々に、確実に、機械兵の数を減らしていった。
そして。
七々は、目を覚まさなくなった。
巳六「七々…七々!!?」
巳六は、七々の呼吸・脈・心音を確認する。
異常は無さそうだった。七々は本当に気絶してしまったのだ。
巳六「心配かけやがって…!」
また2人の周りに、機械兵が現れる。
巳六は七々を抱きしめながら、機械兵を睨みつけた。
そこに、
ドカッ。
機械兵が、2体倒れた。
巳六「…??」
英二「巳六、大丈夫!?」
幸四「横に倒しただけで、破壊はしてません。油断しないで」
雨の中から、英二と幸四が現れる。
巳六「お前ら…」
五月と利九も現れた。
五月「こいつらで最後だ。俺らも、何体か倒したんだぞ」
英二「うん。ある程度ダメージを与えて、俺の電気を喰らわすとうまく壊れるみたいなんだ」
利九「巳六。あとは俺達に任せろ」
巳六は、ほっとした表情になった。
巳六「あー。まじ助かった。みんな、ありがとな」
その時巳六は、何かの音に気付く。
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