1875年 某日。
深夜、サイレンが鳴った。
転区:ホウテイのギルドのギルド長の部屋で仮眠を取っていたホウプは飛び起き、電話を取る。
「ついに来たな。各国、配置に就いてくれ!!」
そうホープは号令を掛けると、武器を持って部屋を飛び出す。
そこには既に、ライク、ドリーム、カルマが居た。
ホウプが3人の顔を見回し、
「行くぞ!」
と号令を掛けて走り出すと、3人もホウプに続いた。
外へ出ると、兵士や賞金稼ぎたちが足音を立てて速やかに移動していた。
今、ホウテイ・ガト・マイオウギで同じ状況になっているだろう。魔物が国内に侵入する前に倒すために、前線を張るのである。
そして、ホウプやカルマは…
フシン側の鉱山の谷へ向かって走った。
バースは”革命の日には逃げも隠れもしない、そこで戦う”と言っていた。だとしたら、向こうからこちらに接触してくるはずだ。
奴らが現れるのは、フシンとホウテイの間にあるこの鉱山のどこかだろう。
山道には魔物も居た。それらの魔物は、普段この辺りでは見ないタイプである。
やはりフシンは魔物を放ったのだ。そして、フシンの作った橋を渡ってホウテイ領に入り込んだのだろう。
ホウプとライクとドリームが魔物を倒しながら、4人は谷へ向かった。
そして4人は谷へとやって来た。
そこには、バースとクライムが立って待っていた。
ホウテイ領に、ホウプとライクとドリーム、そしてカルマ。フシン領に、バース、そしてクライム。
谷を隔てて、対峙していた。
「来たぜ、バース」
まずは、ホウプが口を開いた。
そしてバースは、こちらに向かって嬉しそうに言った。
「あら、ちゃんと来てくれたのね、嬉しいわ。さて…どうする?クライム」
バースに尋ねられたクライムは、力を解放し始める。
「…業…カルマ。俺の手で、滅ぼしてやる」
クライムのその言葉、力の解放に触発されるかのごとく、カルマも力を解放する。
カルマは強く光を放ち始めた剣を抜き、高速のような速さで橋を渡ってクライムに近付く。
そしてカルマは、自分に攻撃を仕掛けてきたクライムの攻撃を避け、彼を誘導するように木々の奥の方へ向かう。
クライムはカルマを追い、2人の姿は木々の中へと消えた。
カルマは、4兄弟の決着のジャマにならないように気を利かせて場所を移したのだった。
そこに残されたバースは、剣を抜く。
「さあ…こっちも始めましょうか?」
バースの問いに、ホウプも答えた。
「ああ。負けねえぞ」
そして、3人も剣を抜く。
バースは一歩後ずさった。すると、木の陰から魔物数体が現れる。
「!?」
身構えるホウプたちに、バースは笑いながら言い放った。
「3対1じゃ不公平だもの、仕方ないわよね、このくらい」
魔物たちはバースの横をすり抜け、ホウプたちに向かって走り出した。
カルマとクライムが戦い始めて、十数分が経過していた。
カルマが放つ一撃をクライムが避け、クライムが放つ一撃をカルマが避け。
そんな状態が続いていた。
クライムは、また以前よりも力が増していたが、その上人間としての知性も手に入れたのか、巧みな攻撃方法を使うようになっていた。
だから、以前よりも決着が長引いている。
「…カルマ」
クライムは肩で息をするような仕草をしながら、カルマに話しかけた。
「お前は、自分がどうやって生まれたのか知っているか?」
カルマは肩で息をしながら答えた。
「…私は…お前を狩るために、神によって生み出された…」
「ククク」
カルマの答えに対し、クライムは笑った。
「お前は、本当に何も知らないんだな。確かにお前は神の手によって生み出された。そして、俺は、突然生まれた。
だが…どちらも、神の力が暴走してしまった結果なんだよ。奴の力が暴走して俺とお前が勝手に生み出され、
罪の祭壇によって呪いの塊となった俺を生み出してしまった尻拭いを、お前にやらせてるんだよ」
「…!」
カルマはクライムの話を聞き、一瞬油断をしてしまった。
その一瞬の隙に、クライムがカルマに衝撃波で強い一撃を喰らわせる。
「…ぐ…っは…」
カルマは倒れそうなところを何とか踏みとどまり、身構えた。
「…」
カルマの中に、再び迷いが生まれる。
やはり神は、私に隠し事をしていたのか…。
しかし。
決めたのだ、罪人を倒した後に、神に問いただすと。
自分は神の遣いとして生まれ、使命を果たすために生きている、と信じてここまで来たのだ。
目の前にいる罪人を倒す…それだけは達成したい。そのために生きて来たのだ。
今回で罪人を仕留めることが不可能だった時、神に問いただす。
これからのために、神から真実を聞き出すのだ。
カルマは剣を構え、クライムに斬りかかった。
そして…
「私の目的は、お前を狩ることだ。では、お前の目的は何だ!?」
カルマがそうクライムに問うと、クライムは攻撃をかわしきれずに少しダメージを喰らった。
「…」
クライムは何も答えない。そこでカルマは、とある確信を持った。
カルマは畳みかけるように攻撃をする。
カルマは攻撃と共に、言葉をも畳みかけた。
「何のために生きている?目的は?最終的にはどうなって欲しい?お前は誰なんだ?さあ、答えろクライム!!!」
クライムは、カルマの攻撃のいくつかを喰らった。
カルマは間髪入れずに言った。
「私は、神の遣い、業・カルマ。お前は…誰なんだ?”罪人”よ…」
そして、クライムに決定的な一撃を喰らわせた。
クライムの体は、空気中に溶け出した。こうなってしまっては、もう攻撃は届かない。
カルマはクライムが消える直前に、彼の表情を目にする。
クライムは、怒り…悲しみ…悔しさ…それらが入り混じったような表情をしていた。
そして、言葉を絞り出す。
「俺が…誰なのか…?そんなの、こっちが聞きたいよ…!…バース…俺は…」
そしてクライムは、空気中に完全に溶けて消えてしまった。
「…」
残されたカルマは、暫く立ち尽くして黙り込んだ。
考えたいことが、沢山ある…
だが、それは後でいい。
カルマはホウプたちがどうなったのかが気になった。自分はクライムとの戦いで体力はほとんど残っていない。
カルマは、歩いてホウプたちの元へ向かった。
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