■make a promise
誓い
ドリーム島の傭兵一味、千秋と呼ばれるようになったイナリは6人兄弟だった。
長男は、父と母両方の髪色を引き継いだ。美しく濃い赤茶色の髪だったが、光の当たり具合によっては美しい緑に見える時もあった。
父と母両方の名前の字を取り、リクニ(里業)と名付けられた。
リクニは真面目な性格で、面倒見も良かった。頑固なところが玉に傷だが、それも微笑ましかった。
次男は、父と同じ美しい緑色の髪だった。父に似ていたので母の名を取って、縁起のいい字と合わせてイナリ(稲業)と名付けられた。
イナリは誰に似たのか変わり者で、何を考えているのか分からなかったが、独自の世界観を持っていてそれが人を惹きつけていた。
3番目は双子だった。男の子と女の子だった。
2人とも、父の髪色を引き継ぎ、美しい緑色の髪だった。なので母の名を取って縁起のいい字と組み合わせ、
男の方はミノリ(実業)、女の方はナルミ(業実)と名付けられた。
ミノリは明るく活発だった。空気が読める子で、どんな時でも家族を盛り上げようとした。
ナルミは優しい父と穏やかな母に憧れ、自分もそうあろうとした。優しく穏やかで家庭的に育った。
5番目も双子だった。男の子と女の子だった。
2人とも、母の髪色を引き継ぎ、美しい赤褐色の髪だった。なので父の名を取って無限の可能性を込め、
男の方はチサト(千里)、女の方はユリ(百里)と名付けられた。
チサトはどんな時でも動じないイナリに憧れたが、ずっとイナリの陰に隠れて守って貰おうとしていた。自分で何かをしようとは思わなかった。
ユリは強い父と気高い母に憧れ、自分もそうあろうとした。ひたすら精神的にも肉体的にも強さを求め、ひ弱なチサトを守ろうとした。
父とイナリの会話
「…で、結局おふくろはそのドリームとの約束を果たせてない訳だよなー?」
「またその話か、イナリ。お前が気にすることじゃないんだぞ?」
「…なあ親父。俺、結構真面目に考えてるんだけどさ。ドリームの痕跡探しに行こうかと思って」
「…やっぱりなあ…めずらしく同じ話ばかりすると思った」
「何か、心がざわざわすんだよなー。こんなに何かをしたいって思ったの久々で。
東の島に行かないと気が済まない。もう決めたんだ」
「駄目だ」
「もう決めたから」
「…母さんが悲しむぞ」
「親父なら分かってくれるだろ。昔、おふくろのことで突き動かされて家を出た親父ならな」
「…」
「じゃあ、明日行くから」
「…俺は止めたからな」
「分かってるよ。行くからには絶対ドリーム見つけるからな。じゃあ、またな」
兄貴が決めたことなんだ。父さんや母さんがそうだったように、俺やユリがそうだったように、みんながそうだったように、
兄貴だって自分で決めてそれを貫き通したんだ。
兄貴はドリームを見つけてドリーム島を愛しドリームのために生きた。
だから、後悔したり悲しむことなんてないんだよ。俺は兄貴を誇りに思うよ。だからみんなもどうか、
…声が
…声が聞こえる…
…?…兄貴は生きている?
そうだ まだ自分の目で確かめた訳じゃないんだ
未来は決まっていない
この先のことは誰も知らない
まだ間に合う
変えてみせる
「俺が変える!!!」
