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機械兵に乗っている千秋を、太一たちは相手にしていた。
問題は機械兵の強さではなくて。千秋が、がっちりと機械兵に固定されていることだった。
太一「トドメが刺せないな…」
英二「機械兵なんて、七々か俺の能力じゃないと破壊出来ないんだよね。でも、どちらにしろ千秋が無傷じゃ済まないけど…」
打撃ダメージでだいぶ弱らせはしたが、トドメは今は英二の静電気でしか刺せない。
しかし、それをしたら千秋は無傷では済まないだろう。
八重「ねえ、あの人を気絶させるのは?」
三琴が首を横に振った。
三琴「あれだけ固定されてたら、気絶させた後も機械兵から引きずり出すのは難しいと思うわ。
機械兵は、操縦主を失っても機能が停止するとは限らないのよ。元々無人で動くものが一般的だし…」
さあ、どうする。
このままだらだら終わりの見えない戦いを続けるか。
その時。
利九「千秋…?」
利九だ。
利九が、部屋の入り口の方から走ってきたのだった。
英二「ねえ利九。千秋が居るから機械兵にトドメを刺せないんだ。あんなに幾つものベルトで固定されて…」
利九「…」
利九は、千秋と機械兵を上から下までじっくりと観察した。
そして。
機械兵におもむろに飛び乗った。
英二「!?」
太一「利九!!危ねえ…!」
機械兵は、利九を振りほどこうと暴れる。
しかし利九は、しっかりとしがみついていた。
太一「利九、大丈夫か…!?」
利九「問題ない」
利九は、千秋を固定しているベルトに手をかけた。
1本1本。丁寧に外していく。
時々機械兵に揺り動かされて落ちそうになるが、何とかしがみついていた。
4人は、ハラハラしながら利九を見守っていた。
そしてついに、全てのベルトが外れる。
利九「千秋、動くなよ…」
一発、殴った。
千秋「…!!」
そしてそのまま、機械兵から引きずり降ろす。
太一は英二を振り返って手を振った。
太一「英二、今だ!!」
英二は目を黄色に光らせ、機械兵の方へ走って行き、思い切り電気を喰らわした。
機械兵は、プスプスと煙を立てて崩れ落ちた。
利九「千秋」
利九の腕の中で、千秋はうっすらと目を開ける。
他の4人も、利九の回りに集まっていた。
千秋「…あ…利九…か…いてて」
千秋は笑った。
千秋「お前、思い切り殴りすぎー。ヒデーなー」
皆、安心した。千秋の症状は、そこまで重くなかったようだ。
千秋「よ…っと」
立ち上がることが出来た。
千秋「他の仲間はどこにいるのかなー」
利九「士季が向こうの部屋に居る。戻って、他の仲間を探しに行こう」
士季が居た部屋に戻ってくると、兵士たちが沢山居た。
彼らは、士季の言ってった通り、傭兵一味を慕っている兵士たちだった。
兵士「千秋さんも、こちらへ。傷の手当をします」
千秋「リーダーもそっちに居るの?」
兵士「はい」
千秋は、利九たちに向かって手を振った。
千秋「俺、体がうまく動かねーから。後、任せてもいいかなー」
利九「分かった」
そのまま兵たちの中へ消えていった。
三琴「…右の方の道へ行った4人は、大丈夫かしらね」
太一「きっと大丈夫だろ。よし、俺らも右の道へ行くぞ」
4人は、右の道へ走り出した。
右の方の道は、部屋の入り口と思われる所が、崩れて通れなくなっていた。太一たちは、仕方なく別のルートから4人との合流を目指すことになった。
9人が合流するために、歩き出したんだけど…
その途中で、
知ってはいけないことを
知らない方が幸せだったことを
知ることになるなんて
思ってもいなかったんだ
→「陸」