「花」

真っ白な八重桜











七々の能力で引き起こされた悲劇って、何だろう。
七々はいつも笑ってんのにな。
考えてみれば、俺って七々のこと、何にも知らねーよな…
あいつ、一体何を背負ってんだろう。
俺に出来ることって、何かないのかよ…



巳六「いや、考えたって仕方ねーよな」
英二「何が」
巳六「いや、何でも」
 英二と巳六と七々は、工場区のアンテナに居た。
 住んでいる区なのだが、アンテナは確かに見覚えがあった。
七々「今まで、意識して見たことなかったよね」
英二「うん。あったと言われればあった感じ。長くて目立つし」
 巳六は、内部のパソコンをじっと見ている。
英二「巳六、本当に大丈夫なの?」
巳六「うーん、何とかなるっしょ」
 巳六はゆるく笑った。
七々「巳六くん、がんばってね」
 巳六は七々の方を見た。
巳六「ま、見てろって七々。…ホレるなよ?」
 ウインクをする。
 巳六は、全意識をパソコンに集中させた。
巳六「…2人とも、静かにな」
 英二と七々は、息を殺して頷く。
 巳六の目が、青く光った。
 そして、猛スピードでタイピングを始める。
 しばらくして。
巳六「…終わり」
 マーキングが終了したようだ。
 巳六は能力を解くと、フラリとよろける。英二と七々が、とっさに巳六を支えた。
英二「巳六…大丈夫?」
巳六「平気平気。結構しんどいのな、コレ」
七々「巳六くん…すごかったね」
 巳六は七々の方を見た。
巳六「ホレた?」
七々「あ…う、…うん」
 七々は少し照れる。
英二「とりあえず、帰ろう。アジトも近いし、巳六はちょっと休みなよ。多分、次もマーキングを頼まれるだろうし」
 巳六は手をひらひらさせた。
巳六「うん、休む休む。能力使いすぎるとめまいを起こすって、本当なのな。よく覚えとくわ」