バレてしまったからには、この島に長居は禁物。
今までゆっくり確実にキョーダイを取り戻していったけど、もうアクティブに行動して急いで皆を取り戻さないと。
そして、この島から脱出する方法。
俺達は、今後について話し合うことにした。
6人は、アジトの広間の中央のテーブルに集まっていた。
太一「やっぱ船、か?」
幸四「でしょうね。この島の飛んでいる機体なんて、まだほとんど試作ですよ」
優しい笑みを浮かべている彼が幸四。
五月「船っつったら造船区じゃねえ?」
長い髪のつり目の女性が五月。
七々「言っても船を出してもらえるかなぁ?」
ボーイッシュな見た目に反しておっとりしている少女が七々。
三琴「…やっぱり、レイさんに聞いてみない?」
レイ、という名前が出た。
英二「確かにレイは色々詳しいけど…」
太一「関係ない人を巻き込みたくないよなあ」
三琴はうーん、と考えた。
三琴「私達の正体を話さなければいいのよね?外の世界についてだとか、外に出る方法を何となく聞いたらどう?」
太一は頷いた。
太一「…そうだな。何となく聞きにいく感じで行くか」
三琴「じゃあ、行きましょう」
太一「三琴は残れ」
三琴「どうして?」
太一「…外に出たら危ねーじゃん」
あんなことがあったからねー…
三琴「…分かったわ。1人で留守番してるわね」
太一「1人じゃダメだ。誰かもう一人…」
五月「俺が残るわ」
五月が軽く右手を上げて言った。
五月「残って三琴のこと守ってやるからテメーらで行ってこいよ」
三琴「ありがとう五月」
五月「どうってことねーよ」
2人は笑いあった(※もう1度言うが五月は女)。
五月「幸四。ちゃんと話聞いてこないとシバくぞ」
幸四「あなたじゃないんだからちゃんと聞いてきますよ。あなたは人の話も聞けないし怪力だから、ここに残るのは正解ですねー」
五月「…アァ?」
にらみつける。
幸四「三琴、この人は野蛮なので気をつけて下さいね」
ニコッ。
五月「三琴には優しく接するに決まってんだろ!!テメーがうぜぇからけなしてんだよ!!」
英二「もう2人ともそのへんにしなよ」
まあ、いつものことだが。三琴は2人を見て笑っていた。
三琴「フフフ。じゃあ五月、よろしくね」
五月「ああ。ほら、早く行けよ!」
幸四「ハイハイ」
太一「プッ…」
太一も笑っていた。
アジトの裏に草が生えた空き地があって、そこに「レイ」の医療所があった。
と、その前に。
太一「零也さん…」
アジトと医療所の間にポツンと置かれた墓。
いつもありがとう、零也さん。
太一たちにとって、大切な人だった。ここを通る時は必ず拝んでいく。
4人は、いつもどおり祈りを捧げてから、医療所へ向かった。
零「いらっしゃい」
太一「俺だ俺!」
零「ああ、太一たちだね」
零。太一たちは「レイ」と呼んで親しんでいる青年。零也さんの子供で、太一たちにとっては大切な存在だ。
小さな医療所に零は居る。腕は確かだ。
零「4人揃ってどうしたんだい?ケガかな?」
太一「いや、違うんだ…その―」
しばらく考えて。
太一「俺ら島から出て行きたいんだけど、外にでる方法知ってるか?」
キョーダイ3人は唖然した。
ヘタクソ…
零「え、出て行っちゃうのかい!?」
英二「あーいや、いずれ行ってみたいなーみたいな。ちょっと外に出る方法とか外の世界のこととか知らないから、レイに聞いてみようと思って」
英二がうまくごまかしたようだ。
零「でも…行方不明のキョーダイはどうするんだい?」
幸四「もちろん、外の世界のことは2人を見つけてからですよ。今は参考程度に聞きに来たんです」
零は、<E-ナンバーズ>のことは知らないが、キョーダイ2人が行方不明であることは知っていた。
零「外の世界のことは利九が詳しいんじゃないかな?」
太一「んー利九は島のことは詳しいけど、外のことはそうでもないと思う。俺らよりは詳しいかもしれないけど、いつ帰ってくるか分かんねーし」
零「キョーダイを見つける手がかり探しに行ってるんだよね、利九は」
太一「まあ、そんな感じ」
利九が政府に進入していることは、さすがに零には言ってない。
レイはキョーダイ以外で唯一信頼できる。だから、キョーダイのある程度の状況は話してあるんだ。
でも、やっぱり巻き込みたくないから<E-ナンバーズ>―通称<E>のことは話してないし、政府との関わりも知らない。もちろん、信頼はしてるけど…でも…
零「…よし、分かった」
考えた末、意を決したようだ。
零「キミたちが島から居なくなるのは寂しいけど、キミたちの頼みだからね。
この島から出るには、造船区の3~5ポートへ行けばいいと思う。…けど、これは数年前の話だ。
実際見に行ってみるか、政府に聞きに行くしかないだろうね」
太一「政府…には聞きに行けないなあ…」
零「どうして?」
英二「太一。」
太一はハッとした。
太一「あーいや…じゃあ政府に聞いてみるわ!」
零「そうするといいよ」
カルテを片手に微笑んだ。
英二「太一、ホントバカ!!」
4人は、医療所の外の空き地にいた。風に草が優しく揺れている。
英二に怒られて、太一は肩をすくめた。
太一「いやーホント悪りぃ。うっかりしすぎだわ、俺」
幸四「危なっかしいですねー。太一も五月とアジトで待っていた方が良かったかもしれませんね」
太一「マジごめん!次気をつけるから!」
3人の様子を見て七々は笑っていた。
七々「政府に関われないっていうのは、不自然だもんね。あそこ、3階くらいまでなら、一般人が自由に入っていい所だし」
そう。1階は受付とかがあるから入れて当たり前だけど、一般人は3階くらいまでは普通に入れるんだ。
ドリーム島はまだ発展途上で、いくら政府が全権を握っているっつってもまだ一般人の力を借りないと維持できないらしいんだ。
利九がひょいひょい進入できるのもそのため。まあ、あいつ結構奥の方まで侵入してるみたいだけど…政府のこと熟知してるから平気なんだろうな。
七々「で、どうするの?すぐ造船区に行く?」
太一「そうだな。見るだけ見てくるかー…ってあそこ一般人も入れるのか?」
英二「昔は入れたんじゃない?でもレイが行ってた通り、今もそうとは限らないんだよね…」
幸四「行くだけ行ってみましょうか」
4人は、造船区へ向かって歩き出した。
→