「夏夜の物語」

ドリーム島では身寄りが無いのは珍しいことでは無いが、傭兵一味も傭兵をしてあちこちを渡り歩いているように、帰る場所が無いメンバーで構成されている。
夏夜もそうだった。彼女は士季と出会い、彼の弟子としてケンカの仕方を教わり、戦う術を手に入れた。
傭兵一味には、本名とは別の、季節に関する通り名が付けられる。夏夜の名前もそうだ。
彼女は、自分が女性であることを「恥」だと思っていた。彼女が生き残ったのも、非力で戦う力を持たなくて家族に逃がされたからだ。士季から戦う力を得たことは、彼女にとって大きな喜びであった。
夏夜は男好きなのだが、折角力も手に入れたことだし男に言い寄ることで女であることに納得しようとし、人生の楽しみを見い出そうとしていた。
そしてある日。夏夜の目の前に利九が現れる。
夏夜はいつも通り利九に言い寄り、利九は鈍いので気付かず、それはそれで終わったのだが、利九は自分と同じように士季からケンカの仕方を教わり、めきめき力を付けていった。
それが夏夜は気に入らなかった。
利九はすぐに夏夜の実力を上回った。夏夜はイライラした。何故、自分が利九より下になってしまったのか、夏夜には分かった。それは夏夜が「女」だったから。
それが分かっていたので余計イライラしたのだった。
夏夜はある日、利九に決闘を申し入れた。利九は最初は断ったのだが、あまりにも夏夜が必死だったのでやむなく…
そして、決闘が始まり…当然利九が勝った。
しかし夏夜は嬉しそうだった。利九は手加減せず、夏夜を思い切り池に投げ飛ばしたからだ。
(池:女性だからというより、仲間をここで怪我させる意味はないのでクッションとして池を選んだ)。
手加減せずに本気でぶつかってくれたことが、夏夜には嬉しかった。これでやっと夏夜はイライラから解放されたのだった。
それだけじゃない。彼女の心に、大きな変化が現れた。
夏夜は、自分が女性であることも悪くは無いと思い始める。
夏夜にとって…利九が特別な存在になり始めたから。
利九は鈍いので一切気付かなかったのだが、夏夜は利九が再び別行動をとっても利九を忘れる日は無く、最後の瞬間も彼を思い浮かべていたとか何とか。